AutoCAD / LT による不等角図の作成 2010.1.18〜2010.1.23  Copyright (c) 2010 f.izawa


正面図と側面図から、立体図を作成します。左が10-40°の不等角図、右が30-30°の等角図です。

※上面は左面、右面の線分をコピーして作成しています。


等角図と同じように、対象の図形を回転しブロックに変換。ブロックのXYの尺度を変倍して挿入する方法で、
左(下図のA)が10°右(下図のB)が40°の不等角図を描きます。

・図形を回転(下図の1)します
  65.372878309162°回転します。
  正確な値は、
arctan (sqrt ( tan(10°)/ tan(40°))) で求まります。(角度はラジアンに変換して下さい。)
  ※回転角度は、作成する上面の向きにより、-90°する必要がある場合があります。

・これ(下図の水色の図形)を適当な名前でブロックとして登録します。

・ブロックを挿入します
  挿入する時のY尺度を 0.38465036654、X尺度を 1.0 にします。
  これは、3D面でX軸まわりに回転する(傾ける)のと同じことになります。
  正確なY尺度は、
cos( 回転角度 ) * tan(40°) / sin( 回転角度 ) で求まります。

・必要であれば、ブロックを分解します

・下図の黄色の部分が挿入後の図形です。


上図の赤い図形を、3D空間でZ軸まわりに 65.372878309162°回転し、
X軸まわりに、67.377963691812°回転すると、丁度、黄色い図形のように見えます。
30-30°の時は、Z軸まわりに 45.0°回転、X軸まわりに 54.735610317245°回転。

3D面でのX軸まわりの回転角度は、
PI/2.0 - arcsin( Y尺度 )で求まります。

線分だけの図形の場合は、線分のZ値を 0 にすると、目的の不等角図になります。
他の図形を含む場合は、メタファイルに書き出し( WMFOUT )、それを2倍の尺度で挿入( WMFIN )すると、
それらしいものになります。

3D空間では、図形をどのように回転しても長さが変わることはありませんが、
不等角図(紙の上)では、X,Y,Z(右方向、左方向、上方向)、それぞれの長さが変わります。

10-40°の各辺の長さの係数
  ・右方向 : 0.543977765132
  ・左方向 : 0.923062346497
  ・上方向 : 0.923062346497
※偽尺寸法の係数(システム変数 DIMLFAC )を変える場合は、この値の逆数を使います。

10-40°、40-10°の不等角図は、Y,Zが同じ値になります。

30-30°では等角図になり、X,Y,Zが同じ長さ係数 0.816496580928 になります。
その逆数(1.2247...)倍すると、係数 1.0 の等測投影図(用語が正しいかどうか・・・)になります。


選択した図形を、10-40°、30-30°、40-10°及び任意の角度の不等角図に変換するLISP
usox.lsp 2010.1.23 (3D回転角度からの作成に対応)


図形の回転角度、ブロック挿入時のY尺度、回転角度の計算

※A=左辺の角度,B=右辺の角度(単位;ラジアン)
回転 扁平 回転
上面
回転角度
 
arctan( sqrt( tan(B) / tan(A)))
挿入時のY尺度 (Ro=回転角度)
 
abs( cos(Ro) * tan(B) /sin(Ro))
 
上面
回転角度
 
arctan( sqrt( tan(B) / tan(A))) - PI/2.0
挿入時のY尺度 (Ro=回転角度)
 
abs( cos(Ro + PI/2.0) * tan(B) / sin(Ro + PI/2.0))
 
左面
回転角度
 
arctan( sqrt( tan( PI/2.0 -A-B) / tan(B))
挿入時のY尺度 (Ro=回転角度)
 
abs( cos(Ro) * tan(PI /2.0 -A-B) / sin(Ro))
挿入時の角度
 
B - PI / 2.0
 
右面
回転角度
 
arctan( sqrt( tan(A) / tan(PI/2.0-A-B))) - PI/2.0
挿入時のY尺度 (Ro=回転角度)
 
abs( cos(Ro + PI/2.0) * tan(A) / sin(Ro + PI/2.0))
挿入時の角度
 
PI / 2.0 - A

AutoCAD の ROTATE3D コマンドで Z 軸まわりに回転 → X 軸まわりに回転した図形を不等角図であらわすとき、
その左辺、右辺の角度は次のようになります。

左の角度 = abs( arctan( sin( angZ + PI/2.0 ) * cos( angX ) / cos( angZ + PI/2.0 )))
右の角度 = abs( atan( sin( angZ ) * cos( angX ) / cos( angZ )))
 ※ angZ : Z 軸まわりの回転角度(ラジアン) angX : X 軸まわりの回転角度(ラジアン)


それらしく寸法を入れます

寸法を作成するための準備をします
傾斜角度を、それぞれ 10°、-10°、40°、-40°にした文字スタイルを作成します。
 厳密には作成する面によって文字幅を変える必要がありますが、読みやすさを考え同じ文字幅にします。
 


・各方向ごとに文字スタイルと、長さの寸法尺度( DIMLFAC )を変えた寸法スタイルを作ります。
 ※寸法が少ない場合は、寸法スタイルを作らず、描いた寸法をあとで変えるほうが簡単です。
  また、DIMLFAC はそのままで、寸法値上書きの値を書き換えると、もっと簡単です。

寸法を入れます
平行寸法(BricsCADでは整列)で寸法を記入し、スライド寸法BricsCADでは斜め寸法)で傾きを修正します。


スライド寸法:
 AutoCAD では、寸法補助線の方向(角度)を指定します。 (最近のZwCAD, IJCADも同じです。)
 BricsCAD では、寸法線から寸法補助線への角度を指定します。相対的なので、計算が必要です。

そのままの寸法



長さの寸法尺度( DIMLFAC )を変えるか、寸法値上書きで無理やり書き換えます